クラウドサービス入門 - AWS、Google Cloud、Azureの違いと選び方【2026年版】

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- 3 minutes read - 616 wordsクラウドサービス入門 - AWS、Google Cloud、Azureの違いと選び方
「クラウドサービスって何?」「AWS、Google Cloud、Azureのどれを選べばいいの?」そんな疑問を持つIT初心者の方向けに、主要クラウドサービスの特徴と選び方を分かりやすく解説します。
クラウドサービスとは?
クラウドサービスとは、インターネット経由でコンピューターリソース(サーバー、ストレージ、データベース等)を利用できるサービスです。
従来の方法との違い
従来のオンプレミス
- 自社でサーバーを購入・設置
- 初期費用が高額(数百万円〜)
- 運用・保守が必要
- 故障リスクを自社で負担
クラウドサービス
- 必要な分だけ利用料を支払い
- 初期費用がほぼゼロ
- 運用・保守は提供会社が担当
- 高い可用性とセキュリティを提供
クラウドサービスのメリット
- コスト削減:初期投資不要、従量課金制
- スケーラビリティ:必要に応じてリソース増減
- 高い可用性:99.9%以上の稼働率保証
- セキュリティ:世界最高水準のセキュリティ対策
- 迅速な導入:数分でサービス開始可能
主要クラウドサービス3社の比較
1. Amazon Web Services (AWS)
世界最大手のクラウドプラットフォーム
基本情報
- 設立:2006年
- 市場シェア:約32%(2026年現在)
- データセンター:世界31リージョン、99アベイラビリティーゾーン
- 日本拠点:東京、大阪
特徴
- 豊富なサービス数:200以上のサービスを提供
- 成熟したエコシステム:豊富な学習リソースとコミュニティ
- 企業導入実績:Netflix、Airbnb、トヨタなど
主要サービス
コンピューティング
- EC2:仮想サーバー
- Lambda:サーバーレスコンピューティング
- ECS/EKS:コンテナサービス
ストレージ
- S3:オブジェクトストレージ
- EBS:ブロックストレージ
- EFS:ファイルストレージ
データベース
- RDS:リレーショナルデータベース
- DynamoDB:NoSQLデータベース
- RedShift:データウェアハウス
料金体系
- 従量課金制:使った分だけ支払い
- リザーブドインスタンス:1年/3年契約で最大72%割引
- スポットインスタンス:余剰リソースを安価で利用
料金例(東京リージョン)
EC2 t3.micro: 約1,200円/月
S3 標準ストレージ: 2.5円/GB/月
RDS t3.micro: 約2,400円/月
2. Google Cloud Platform (GCP)
Googleが提供するクラウドプラットフォーム
基本情報
- 設立:2008年
- 市場シェア:約10%(2026年現在)
- データセンター:世界35リージョン、106ゾーン
- 日本拠点:東京、大阪
特徴
- AI/ML分野で強み:TensorFlow、AutoMLなど
- ビッグデータ処理:BigQueryでペタバイト級分析
- Kubernetes発祥:コンテナオーケストレーションの先駆者
主要サービス
コンピューティング
- Compute Engine:仮想マシン
- Cloud Functions:サーバーレス関数
- Google Kubernetes Engine:マネージドKubernetes
ストレージ
- Cloud Storage:オブジェクトストレージ
- Persistent Disk:ブロックストレージ
- Cloud Filestore:ファイルストレージ
データベース・分析
- Cloud SQL:リレーショナルデータベース
- Firestore:NoSQLデータベース
- BigQuery:データ分析プラットフォーム
料金体系
- 継続利用割引:月の利用時間に応じて自動割引
- コミット利用割引:1年/3年契約で最大57%割引
- プリエンプティブルインスタンス:最大80%割引
料金例(東京リージョン)
Compute Engine f1-micro: 約700円/月
Cloud Storage 標準: 2.0円/GB/月
Cloud SQL db-f1-micro: 約1,800円/月
3. Microsoft Azure
Microsoft提供のエンタープライズ向けクラウド
基本情報
- 設立:2010年
- 市場シェア:約23%(2026年現在)
- データセンター:世界60リージョン以上
- 日本拠点:東日本、西日本
特徴
- Microsoft製品との連携:Office 365、Windows Serverとの親和性
- ハイブリッドクラウド:オンプレミスとクラウドの連携が得意
- 企業向け機能:セキュリティ、コンプライアンス機能が充実
主要サービス
コンピューティング
- Virtual Machines:仮想マシン
- Azure Functions:サーバーレスコンピューティング
- Azure Kubernetes Service:マネージドKubernetes
ストレージ
- Blob Storage:オブジェクトストレージ
- Managed Disks:ブロックストレージ
- Azure Files:ファイルストレージ
データベース
- Azure SQL Database:SQLデータベース
- Cosmos DB:NoSQLデータベース
- Azure Synapse:データウェアハウス
料金体系
- 従量課金制:使用量ベースの料金
- Azure リザーブド VM インスタンス:1年/3年契約で最大72%割引
- Azure ハイブリッド特典:既存ライセンス活用で割引
料金例(東日本リージョン)
Virtual Machines B1s: 約1,000円/月
Blob Storage 標準: 2.2円/GB/月
Azure SQL Database Basic: 約650円/月
サービス別詳細比較
処理能力・パフォーマンス
| 項目 | AWS | Google Cloud | Azure |
|---|---|---|---|
| 計算性能 | 高性能インスタンス豊富 | 優秀な価格性能比 | バランス型 |
| ストレージ性能 | 高IOPS対応 | 高速ネットワーク | 企業向け最適化 |
| ネットワーク | グローバル高速 | Googleバックボーン活用 | ExpressRoute |
セキュリティ機能
AWS
- IAM:詳細なアクセス制御
- CloudTrail:操作ログの記録
- GuardDuty:脅威検知サービス
- Shield:DDoS攻撃対策
Google Cloud
- Cloud IAM:統一アクセス制御
- Cloud Security Command Center:セキュリティ管理
- Binary Authorization:コンテナセキュリティ
- VPC Service Controls:データ保護
Azure
- Azure Active Directory:統合認証基盤
- Azure Security Center:セキュリティ管理
- Azure Sentinel:SIEM/SOARサービス
- Key Vault:暗号キー管理
サポート体制
AWS
- サポートプラン:ベーシック、デベロッパー、ビジネス、エンタープライズ
- 日本語サポート:ビジネスプラン以上で対応
- レスポンス時間:最短15分(エンタープライズ)
Google Cloud
- サポートプラン:ベーシック、シルバー、ゴールド、プラチナ
- 日本語サポート:シルバー以上で対応
- 専任サポート:プラチナプランで利用可能
Azure
- サポートプラン:ベーシック、デベロッパー、スタンダード、プロフェッショナル ダイレクト
- 日本語サポート:デベロッパー以上で対応
- Premier Support:エンタープライズ向け包括サポート
初心者におすすめのサービス選択指針
学習・個人利用の場合
AWS(おすすめ度:★★★★★)
理由
- 豊富な学習リソース
- 無料利用枠が充実(12ヶ月間)
- 求人市場での需要が高い
無料枠の例
- EC2 t2.micro:750時間/月
- S3:5GBストレージ
- RDS:750時間/月(db.t2.micro)
Google Cloud(おすすめ度:★★★★☆)
理由
- 継続的な無料枠
- AI/ML学習に適している
- シンプルな料金体系
Always Free枠
- Compute Engine f1-micro:1インスタンス
- Cloud Storage:5GB
- BigQuery:1TB/月のクエリ
Azure(おすすめ度:★★★☆☆)
理由
- Microsoft環境に慣れている場合
- Visual Studioとの連携
- 12ヶ月無料 + 常時無料サービス
小規模ビジネス・スタートアップ
重視するポイント別おすすめ
コスト重視
- Google Cloud:継続利用割引で自動的にコスト削減
- AWS:リザーブドインスタンスで長期割引
- Azure:ハイブリッド特典活用
開発速度重視
- AWS:豊富なマネージドサービス
- Google Cloud:シンプルなAPI設計
- Azure:Visual Studio統合
AI/データ分析重視
- Google Cloud:BigQuery、AutoML
- AWS:SageMaker、Redshift
- Azure:Cognitive Services、Synapse
大企業・エンタープライズ
業界・用途別おすすめ
金融・保険業界
- AWS:豊富なコンプライアンス認証
- Azure:Microsoft製品との統合性
製造業
- Azure:工場システムとの連携
- AWS:IoTサービスの充実
小売・EC業界
- AWS:Amazon自体のノウハウ
- Google Cloud:検索・分析技術
具体的な使い分け例
Webアプリケーション開発
シンプルなWebサイト
推奨構成:
- AWS: EC2 + RDS + S3
- GCP: Compute Engine + Cloud SQL + Cloud Storage
- Azure: VM + Azure SQL + Blob Storage
スケーラブルなWebアプリ
推奨構成:
- AWS: ECS + ALB + RDS + ElastiCache
- GCP: GKE + Load Balancer + Cloud SQL + Memorystore
- Azure: AKS + Application Gateway + Azure SQL + Redis Cache
データ分析基盤
リアルタイム分析
推奨:Google Cloud
サービス: Cloud Pub/Sub + Dataflow + BigQuery
理由:ストリーミング処理に最適化
大規模データ処理
推奨:AWS
サービス: Kinesis + EMR + Redshift
理由:豊富な分析ツール群
AI・機械学習
画像・音声認識
推奨:Google Cloud
サービス: Vision API + Speech-to-Text API
理由:Googleの強力なAI技術
カスタムAIモデル
推奨:AWS
サービス: SageMaker
理由:包括的なMLプラットフォーム
料金最適化のコツ
共通の節約方法
1. 適切なインスタンスサイズ選択
- CPU使用率を監視
- メモリ使用量の最適化
- 定期的なサイズ見直し
2. 自動スケーリング活用
# AWS Auto Scaling例
Min: 2インスタンス
Max: 10インスタンス
Target: CPU使用率70%
3. ストレージクラスの使い分け
- 頻繁アクセス:標準ストレージ
- 月1回程度:低頻度アクセス
- 年数回:アーカイブストレージ
4. 不要リソースの定期削除
- 未使用インスタンス
- 古いスナップショット
- テスト環境の自動停止
サービス固有の節約術
AWS
- Spot Instances:最大90%の割引
- Savings Plans:柔軟な長期契約
Google Cloud
- 継続利用割引:自動的に25%割引
- コミット利用割引:予約インスタンス
Azure
- Dev/Test価格:開発環境で40%割引
- ハイブリッド特典:既存ライセンス活用
セキュリティベストプラクティス
基本的なセキュリティ設定
1. アクセス管理
原則:最小権限の原則
- 必要最小限の権限のみ付与
- 定期的な権限見直し
- 多要素認証の必須化
2. ネットワークセキュリティ
設定例:
- プライベートサブネット活用
- セキュリティグループでポート制限
- VPN/専用線での接続
3. データ暗号化
必須項目:
- 保存時暗号化(Storage)
- 転送時暗号化(TLS/SSL)
- データベース暗号化
4. 監査・ログ管理
実装項目:
- APIアクセスログ記録
- リソース変更履歴保存
- 異常検知アラート設定
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
接続できない問題
確認項目:
1. セキュリティグループ設定
2. ネットワークACL設定
3. ルートテーブル設定
4. DNS設定
パフォーマンス問題
確認項目:
1. インスタンスサイズ適性
2. ネットワーク帯域制限
3. ストレージIOPS設定
4. データベースインデックス
料金予想外増加
確認項目:
1. データ転送料金
2. 不要なリソース稼働
3. ストレージ使用量
4. APIコール回数
学習リソース
公式学習プラットフォーム
AWS
- AWS Training and Certification
- 無料のデジタルトレーニング
- 実践的なハンズオンラボ
- 認定資格プログラム
Google Cloud
- Google Cloud Skills Boost
- 実習形式の学習
- バッジ取得システム
- 認定試験対策
Azure
- Microsoft Learn
- 対話式学習モジュール
- 実践的なサンドボックス
- 認定資格パス
推奨認定資格
入門レベル
- AWS Certified Cloud Practitioner
- Google Cloud Digital Leader
- Azure Fundamentals (AZ-900)
実務レベル
- AWS Certified Solutions Architect - Associate
- Google Associate Cloud Engineer
- Azure Administrator Associate (AZ-104)
学習の進め方
1. 基礎知識習得(1-2ヶ月)
- クラウドコンピューティングの基本概念
- 各社サービスの概要理解
- 無料枠での実際の操作
2. 実践演習(2-3ヶ月)
- 簡単なWebアプリケーション構築
- データベース設定と運用
- セキュリティ設定の実装
3. 専門性向上(3-6ヶ月)
- 特定分野の深掘り(AI、データ分析等)
- 高可用性システム設計
- コスト最適化の実践
まとめ
クラウドサービス選択は、用途・規模・技術要件に応じて決定することが重要です。
選択指針まとめ
初学者・個人開発 → AWS (学習リソース豊富、就職市場での需要高)
コスト重視・データ分析 → Google Cloud (料金体系シンプル、AI/ML強力)
Microsoft環境・エンタープライズ → Azure (既存システム連携、企業向け機能充実)
成功のポイント
- 小さく始める:無料枠で基本操作を習得
- 継続学習:技術進歩に応じたアップデート
- 実践重視:理論より実際の構築経験を積む
- コミュニティ活用:他の利用者からの情報収集
クラウドサービスは現代のIT基盤として必須の技術です。この記事を参考に、自分の目的に最適なクラウドサービスを選択し、実際に触れながら学習を進めてください。適切に活用すれば、個人でも企業レベルのシステムを構築することが可能になります。